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執筆者の写真登島和弘

日本の企業法務教育をどうするか?


企業法務に30年あまり携わる中でこの国の法学教育にいささか疑問を感じてきたのですが、近年ご存じのとおり、大きな問題が表面化してきていると考えています。

【1.法科大学院制度の抜本的見直しが急務である】 理由: 国策として立ち上げた法科大学院制度は完全に瓦解している。

① 需要(旧来的な需要(既存の弁護士事務所+大企業の法務部)と供給(新司法試験合格者+ロー卒生)のバランスを読み間違えた。 この点、対策として国が行っているのは、一部法科大学院の廃止や統合でその場をしのいでいるだけの現状。 つまり供給減らしをやっているだけで、現存需要の再評価+潜在的需要の掘り起こしを行うべきである。

② 本来の司法試験受験資格である法科大学院卒業の補完的役割を担っている予備試験の合格者の司法試験受験者数(平成29年400名/受験者総数:5967名)および予備試験からの新司法試験合格者数が急増し(同年 290名/受験者総数:1543名)、またかれらの司法試験合格率が極めて高い(同年 72.5% 法科大学院中最も合格率の高い京都大学法科大学院:50.0%)ことは、現在の法科大学院制度の存在意義に疑問符を投げかけている。

法科大学院とはそもそも何のために存在するのか、そのプリミティブな問いにどう答えるのか、そこから再検討すべきである。

上記の点について、国は早急に総括して抜本的な対策を打つ必要がある。

【2.就職できない司法試験合格者や“三振ロー卒生”の救済が急務である】

 理由: かれらの多くは潜在能力と資質を持っている。これを放置することは国家的な損失である。それにもかかわらず、この問題については、国は全く手を打っておらず、民間任せの現状。

① 彼らは国家的詐欺(政府は当初、合格者3000名。合格率70%と言っていた)にあったという面も否めないのであって、何らかの国による対策が必要なのではないか。

② 彼ら自身も試験に受かれば何とかなるだろうと甘い考えをもっていた面も否めない。 企業や社会で求められている、法律的素養をベースとした能力・スキルとこれまで自分がやってきた法律の学習とのミスマッチに気づいていない。 あるいは気づいていてもそのギャップを埋める術を知らない。

そこで、私は、先ず上記2-②の問題から取り組もうと、行動に出ました。 私の思いに賛同いただいたMore-Selections さんのお力を借りて、2017年、リーガルビジネススクール(https://www.corporate-legal.jp/企業法務の研修交流会/lbs )を開講させていただきました。 これをさらに発展させていきたいと考えていますが、一人の力では限界がありますので、 大学・法科大学院の同期や企業法務の第一線で活躍している仲間たちの力を借りて、この国の企業法務の未来を背負う若者たちの育成に力を注いでいきたいと考えています。

こうした仲間たちのベースキャンプとして、今般立ち上げたのが、『新企業法務倶楽部』 です。 これからの『新企業法務倶楽部』の活動にご期待ください!!

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